花の記憶
運命の女ふうに装って
踊りにいくのが好きだった
あの春の宵
ラストダンスを私にと
まっすぐ歩いてきた若者
私は踊りながら
ほんものの運命に
抱かれてしまったように
青ざめた
それから
桜の下を ひとり さまよった
運命の足音が聞こえはせぬかと
けれど
花びら舞う音のほか
なんにも聞こえはしなかった